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【生前】不動産の登記名義を変更するための3つの方法|相続対策

今後の相続のことを考えたときに、所有している不動産について早めに親族間で登記名義を変更しようとお考えの方もいらっしゃると思います。

ここでは生前に不動産の登記名義を変更する際の3つの方法について、メリットとデメリット、優先順位についてお伝えします。

不動産の名義変更をご検討中の方は必読です。

売買による登記名義の変更

まず一番最初に不動産名義の変更するときに思い浮かぶのは譲渡のはずです。譲渡には有償譲渡と贈与などの無償譲渡があります。

有償譲渡とは、いわゆる売買のことです。

親族間で不動産を売買することによっても、当然、登記名義を変更することは可能です。

メリット

売買によって不動産の登記名義を変更するときのメリットは、すぐに名義を変更できる点にあります。

デメリット

不動産をいくらで売買するかによって譲渡所得が発生するため、譲渡所得税も発生してしまいます。

特に先祖代々受け継いできた不動産で、しかもその不動産の取得価額が不明なときには、相当な譲渡所得税が発生すると想定されます。

相当前に取得した不動産ですと、時価が上昇していることが多く、譲渡所得税もかなりの金額になってしまうことが多くありますので、要注意です。

要注意
親族間で売買したとしても、その売買価格が著しく低い価額のきには、税務署にみなし贈与と判断され課税されることがあるので注意が必要です。

譲渡所得税

補足として譲渡所得税の計算方法について説明します。

譲渡所得税の計算の仕方
譲渡所得税 = {不動産の売買価額-(取得費+譲渡費用)}×税率

不動産の売買価額から取得費等を控除し、その金額に対して税率を乗じて譲渡所得税を求めます。

贈与による登記名義の変更

贈与によっても不動産の登記名義を変更することができます。

メリット

売買で不動産名義を変更するとき同様、贈与でもすぐに名義を変更することができる。

デメリット

贈与税が発生する。

ただ、おしどり贈与(2,000万円までは非課税)や、相続時精算課税制度(2,500万円までは非課税)を活用すると贈与税を一定の範囲内で回避することができますが、種々の要件があるため万能とまでは言えません。

おしどり贈与の要件
  • 婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  • 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
相続時精算課税制度の要件
  • 贈与者は60歳以上の父母または祖父母であること
  • 受贈者は贈与者の直系卑属である18歳以上の推定相続人または孫

ただ相続時精算課税制度については、実際の利用は少ないと思います。

遺言による登記名義の変更

遺言によって不動産の名義を変更する方法もあります。

例えば、公正証書遺言を作成して、不動産Aを自分の長男に相続させる旨の遺言書を作成する方法でも、不動産の登記名義を変更することができます。

遺言によって不動産の名義を変更するときのメリットとデメリットは次の通りです。

メリット

売買や贈与による方法よりも、割安な税金で登記名義を変更できることが多い。

特に、先祖代々受け継いできた不動産の名義を変更するときには、売買等よりも、遺言を活用して名義を変更した方が税金は割安になるはず。

※ どれくらい割安になるかはシミレーションすべき。

デメリット

売買や贈与と違って、相続が発生するまでは名義変更できない。ただし、この点が実質的な不利益をもたらすことはほとんどない。

名義変更の優先順位

最後に、不動産の登記名義を変更するときの優先順位についてお伝えします。

まずは遺言によって名義変更することを検討すべきだと思います。この方法がもっとも税金を割安に抑えられることが多いからです。

次に、おしどり贈与や相続時精算課税制度を活用できるケースかどうかを検討します。おしどり贈与や相続時精算課税制度は、贈与先が配偶者や直系卑属に限定されているので、贈与者の意図が達成できないこともあります。

最後に、売買による登記名義の変更を検討します。

いずれの方法でも、可能であれば税金のシミレーションをすることをお勧めします。

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