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【離婚】財産分与で注意する税金は?

結婚が少なくなっているというニュースの一方で、3組に1組が離婚しているとも言われています。

離婚のときに大きな問題となるのが、子供の親権と財産分与でしょう。

ここでは、財産分与と財産分与に伴う税金について説明します。

分与される財産に関心のある方は多いと思いますが、財産分与に伴う税金にも気を付けないと思わぬ落とし穴に足を踏み入れることもありますので最低限の注意は必要です。

離婚時の財産分与とは?

まずは財産分与について簡単におさらいします。

財産分与とは、夫婦が結婚中に有していた共同財産を離婚時に清算分配すること。

そして財産分与の対象になる共同財産には例えば預金、不動産、自動車、株、生命保険など「夫婦で協力して得た財産」で、あらゆる財産が含まれます。

ただ結婚期間が短い夫婦や、収支がトントンで生活していた夫婦は、夫婦が協力して得た財産がないということもあり、分与の対象となる財産がないということもあります。

財産分与の原則:2分の1ルールとは?

財産分与の対象になる財産が明らかになったとして、離婚に直面した夫婦が関心があるのはその財産をどのように分与するかという点ではないでしょうか。

財産分与の原則は、財産分与の対象になる財産を2分の1ずつ分与する2分の1ルールが大原則です。

ただ、夫婦どちらかの財産構築に対する貢献度が大きければ2分の1ルールは修正されることもあります。

例えば、夫婦一方の特別の努力や能力によって高額な財産が形成された場合や、不動産など高額な財産を取得する際に夫婦の一方が原資の一部として多額の財産を出資した場合などは2分の1ルールが修正されることもあります。

離婚における財産分与に関わる税金

財産分与のときにはご自身が受け取る分与財産だけに気をとられてしまい、その後発生する税金のことは忘れがちな方も多いのではないでしょうか。

ここでは財産分与の際に注意すべき税金について、財産分与の前後に分けて説明します。

居住用不動産を贈与したときの配偶者控除(財産分与前)

まずは財産分与「前」の税金に関してお伝えします。

財産分与としてではなく、予め他の配偶者に多めに財産を渡しておきたいなど、なんらかの事情があって離婚前(財産分与前)に贈与をしておきたいこともあります。

そのときには、居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(通称:おしどり贈与)を活用することが有効です。

この配偶者控除とは、次の要件を満たせば最高2,000万円まで配偶者控除ができる制度のことです(2,000万円までは税金がかからない)。

おしどり贈与の要件
  • 婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  • 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

このおしどり贈与は、結婚期間が20年未満の夫婦は活用することはできませんので注意が必要です。すなわち、結婚期間が20年未満の夫婦間で居住用不動産の贈与をしたとしても、おしどり贈与とはならず、贈与税が発生するということです。

ちなみにおしどり贈与した夫婦が、暦年贈与も活用すると最高2,110万円まで無税で贈与することが可能となります。

以下では財産分与「後」の税金について説明します

財産分与と贈与税(財産分与後)

まず離婚時における財産分与では、原則として贈与税はかかりません。

ただ次のような場合には贈与税が課税されることがあります。

1.分与された財産が結婚中の夫婦の協力にによって得た財産の額や、その他の事情を考慮しても「多すぎる」とき

例えば結婚期間が短期であって蓄財がほとんどないにもかかわらず、過大な財産分与があったときには「多すぎる」部分に関して贈与税が発生します。

2.贈与税を免れるために離婚したとき

例えば、配偶者に財産を移転しその後再婚する場合や、債権者からの追求を免れるために配偶者に財産を移転し離婚したにもかかわらず同居を続けるときなどは、すべての分与した財産について贈与税が課税されることがあります。

この2点は注意です。

財産分与と譲渡所得税

譲渡所得税について説明する前提として、その計算方法を簡単に解説します。

譲渡所得の計算の仕方
譲渡所得 = 財産の時価※-(取得費+譲渡費用)

※ 財産の時価とは、例えば財産分与する不動産の時価のこと

上の計算式の譲渡所得がプラスの値になれば譲渡所得税が発生します。マイナスであれば譲渡所得税は発生しません。

譲渡所得がプラスのときにはその所得に税率を乗じて納付する税額を求めます。

さて本題に戻ります。

財産分与で貯預金などの「金銭」を相手方に対して財産分与するときには、分与する側に譲渡所得税は発生しません。

ですが、不動産や株式を分与するときには譲渡所得税が発生することがあります(上の計算式の値がプラスのとき)。

例えば、財産分与した不動産等の取得費等よりも分与の時の時価が高ければ分与した側に譲渡所得税が発生します。

逆に不動産の取得費等よりも分与時の時価が下落していれば、譲渡所得は発生しないため譲渡所得税は発生しません(上の計算式の値がマイナスのとき)。

財産分与と不動産に関する税金

財産分与した不動産の時価が不動産の取得費等を上回っていれば、譲渡所得税が課税される点は既にお伝えした通りです。

ですが、譲渡所得が3000万円以内であれば税金を支払う必要はありません。もちろん、一定の要件を満たす必要はあります。

譲渡所得が3,000万円以内であれば税金が発生しない特例がありますが、この特例のことを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。

この特例を活用するためには、主に次のような要件を満たす必要があります。

特例の主な要件 ※
  • 居住用の財産を譲渡すること
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

※ その他にも要件がありますが、詳細についての説明は割愛します。

特例を活用するための要件の1つに「売手と買手が、夫婦など特別な関係でないこと」とありますので、婚姻中はこの特例は活用できません。ですので、離婚後に活用することになります。

不動産の登録免許税

財産分与によって不動産を取得すると、その登記名義を変更する必要があり、その際に登録免許税が発生します。

財産分与によって不動産の登記名義を変更するときの税金は、固定資産評価額の2%です。

財産分与の際の税金についてのまとめ

以上、ここまで財産分与の際の税金についてお伝えしました。

財産分与の際に特に気を付けるべきなのは、譲渡所得税でしょう。そのうえで、おしどり贈与や居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を活用することが有効だと思います。

財産分与の際の税金については、当事務所にご相談ください